ブログ

お花がくれたプレゼント

 朝一番、私たちをあたたかく出迎えてくれるお花。職員玄関と生徒玄関、そして職員室前に飾られています。本校は節電に取り組んでいますので、生徒が活動する場所を除いた玄関や廊下は陽が入らないため薄暗い状態になっています。スイッチONで全ての箇所を明るくすることは可能ですが、限られた経費を大切に使わせていただくために、本校だけではなく全ての学校が知恵を絞って節電や節約に取り組んでいます。

 ここのところどんよりとした空模様で雨が降り続いています。雨、というだけで気持ちも下がってしまいますが、傘を閉じ玄関の扉を開けると、一点そこだけが明るい。真っ先に目がそこに留まります。おそらく来校された方も「あらっ」と感じてくれるはずです。

 華道部のある学校は本校がそうしているようにお花を校内に飾っていると思いますが、私は本校で働いて良かったなと思うことの一つは『お花が身近にある』ことです。学校現場は日々様々なことが発生します。それは生徒も教職員も。人と人が接する現場ですから当たり前です。私は何もないことを願っている暇はないと思っています。私の働く上でのスタンスですが、何かある前に一手を打つ、何かあったらどのように対応するか、そのことを31年間自分に言い聞かせています。想定しておく準備しておくことの大切さ。これをしておけばバタバタ慌てることはありませんし、自信を持って対応できる。

 話が逸れてしまいました。そういう現場ですから浮き沈みは不定期に訪れます。「あぁ今日はこんなことがあったなぁ」そんなことを考えながら階段を降りてきて玄関まで歩いてきたときに、一瞬お花に目が留まる。肉体的な疲労や精神的な疲れ、イライラやがちがちになった肩、少しだけいいことがあった気持ち、部活動に向かう意気込み、気の進まないアルバイトに行く気の重さ、明日の授業の組立、家族のこと、友達のこと、自分のこと・・・みんなそうしたことを考えながら歩いている。そんな時のお花。自分の気付かないところで何かしらの支えになってくれたり励ましてくれたり慰めてくれたり褒めてくれたりしている。私はそう思っています。

 もしかすると私だけの感覚なのかどうかわかりませんが、お花を見ているその瞬間だけは、花の形、色、香りのことだけで心が動いています。それ以外のことはやはり一瞬ではありますがすっぽり心の中から消えています。これがお花がくれたプレゼントなのではないか。お金に変えられない大切な時間を与えてくれているような気がする。ふと、我に返った時に余計なことが心の中から消えいた瞬間を感じる自分が好きです。自宅庭のお花にのめり込む理由はこの感覚の中にいたいからなのかもしれません。

 思いを込めて生けたお花。作品を飾ってくれる生徒と顧問の先生、御指導いただいています講師の先生に感謝いたします。