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下宿とアスパラ

 5年間の大学生活を下宿で過ごしました。20名近くが生活するかなり大所帯の下宿は、水元町界隈ではほとんどなく珍しかったと思います。そこでの顛末は書けることと書けないことがありますが、いつか紹介できたらと思っています。

 ぽつぽつと学生向けのワンルームマンションが建ち始めていた頃でした。誰にも邪魔されない自分だけの空間を持ちたい - 集団と個人に対する若者の価値観に変化の兆しが見え始めた最初のあたりだったかもしれません。

 私のような下宿生活は、やはり先輩後輩の関係がありますし、トイレとお風呂は共同で、決まった時間に揃って御飯を食べ、1台しかなかった公衆電話が鳴ると1年生が呼び鈴3回以内に走って受話器をとる、などといった所謂昭和感を漂わす掟のようなものもたくさんありました。それはそれで良き想い出として記憶していますが、今はそうではありません。私の子どもたちも、ワンルームマンションに入居し、4年間の大学生活を送りました。いや、もしかすると下宿を探す方が難しくなっているのかもしれません。

 さて、私は大学生活に係るすべての経費を自ら賄うことを約束に室蘭工業大学に入学しましたので、ある青果店でアルバイトをして13万円の収入を得ていました。平日朝夕食付き6畳一間で5万円、残る8万円を学費や生活費に当てる5年間でした。確か授業料が前期で18万円くらいでしたので、13万円もあるとややリッチな生活ができていました。

 毎週土曜日は大家さんの計らいで大鍋いっぱいのカレーライスが提供されましたが、日曜日と祝日は各自でとなっていましたので、私はアルバイト先で野菜を購入し、ちょっとした料理を作って食べていました。6月はアスパラの時期でしたから、伊達や洞爺産のアスパラを茹でたり炒めたりしてドンブリ一杯、腹一杯食べました。人生で一番アスパラを食べたと思います。そのときのアスパラの美味しさが35年を過ぎた今も忘れられない思い出になっています。

 アスパラの話になったのは、先週、ある先生が朝の通勤途中に直売所でアスパラを購入したようで、お裾分けしてくれたからです。「校長先生、校長の小部屋のネタになるかもしれませんよ」そのアスパラが大学時代のことを思い出させてくれて、これを書いています。

 大事な本校の宣伝をさせていただきます。アスパラを餌にした羊、アスパラ羊のお肉を加工した製品を今後本校のフード系列において生産する予定になっています。お楽しみに!