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正解など

 夏季休業明けの登校で全員が目にした作品。そしてそれはこれから毎日目にすることになります。みんなの目に留まる位置に、青春真っ盛りのみんなを支えてくれるであろう書を掲げました。本校の先生が書いた作品です。作品の素晴らしさは当然ではありますが、万人が思いつきもしないであろうこの芸術的な言葉の綴りが、今を生きる高校生の道標になるはず、と私は思っています。

 8月上旬に第3回教育大学旭川校書道研究室卒業生展が札幌市で開催され、招待状をいただいたこともあり足を運びました。恥ずかしながら筆も立たず、見せられるような字も書けない私ではありますが、人生で初めて『書の存在感』、『書のエネルギー』のようなものを感じました。数々の作品を目にし、「これはすごい」 - あまりに圧倒的で、もうそれ以上の言葉が出てこないのです。書き手の想いや魂がまざまざと迫ってきて、下手なコメントを述べるくらいなら、ただ黙って作品の前に立ち、感じるものをすべて全身で受け止めればそれでいいんだ、と思いました。

 この日、偶然にも教頭先生も会場にいらしたので、「作品を校内に展示して生徒に見せたいですね」という話になり、実はこれが冒頭の経緯となったわけです。大切な作品を惜しみなく提供してくれた先生に感謝いたします。

 「正解」という野田洋次郎さんの曲と詞を昨日インターネットで拝聴・拝見しました。静かな美しい曲でありながら、メッセージ性の高い、実に心に沁みる奥深い素敵な音楽と詞でした。できることなら高校生の時に聴きたかったな、と真っ先に思いました。夢があっても結局は既定路線に身を委ねるしかないのか、という葛藤や不安、怒りと諦めの中で、それでも一歩一歩現実に向かっている自分にもやもやしていたあの頃に出会っていたら、自らの心の有り様をやさしく包み込んでくれたはず。もしかしたら別な答えを探す旅に勇気を持って踏み出せたかもしれない・・・今さらですがそんなことを考えたりしています。大学時代からほぼJAZZしか聴いてこなかったので、日本の世の中にこんな素敵な音楽があったことに驚きも感じています。これからは音楽についてもう少し広くいろいろなものを吸収していく必要がありそうです。

 生きる、ということは、1足す1が2となるような、きれいな答えと正解ばかりではありません。そのほとんどは銀河のような空間の中で、自分の立ち位置すら曖昧な状態にありながらも、これかもしれないという光を見つけ、自分の足でその光を掴みにいくような、そんな旅を続けていくことなんじゃないか、と思います。誰かが放った正解のような光が、自分が探している正解を照らすものにはならない。自分の進むべき道は自分で拓きなさい。正解などないのだから自分で正解を見つけなさい。野田洋次郎さんの意図するところとはかけ離れているかもしれませんが、私はそう考えています。