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夕刻の部室

 夕暮れ迫る部室
 そこだけは流れていかない時間
 動きを忘れた空気に
 懐かしき高校時代が蘇る

 学校って不思議なところです。自分は一年一年歳をとってゆくのだけれど、巡り会う生徒はいつも十六十七十八なのです。繰り返されるこの潮流の中に自分の時間軸は確実に先へ先へと伸びていきます。時は先へ先へ進んでゆくのだけれど、いつも過去と現在を往還できる楽しみがある。それって一部の限られた人にしか経験できない特殊なものです。私はこのことが教職の魅力なんだろうな、と思っています。

 高校を卒業した後の人生において、自らの高校時代を想い出すことはどれほどあるだろうか。それは年齢を重ねるごとに遠く遠くに押しやられていく - 多くの人はきっとそうなんだろう。ただ、私は違う。高校時代がいつも隣にある。

 私はこの仕事に就いたときから(32年前から)高校生の記憶に浸ることができています。そうしたことは頻回に訪れます。職が違ったらおそらく滅多なことでない限り高校時代を想い出すことはなかっただろうと思います。だから何か特別なものをもらったような感覚があります。想い出せたから何か素晴らしいことがあるというわけでもないのですが、ふと蘇ってくる高校時代の記憶に穏やかで幸せな気持ちになれる。教職というのはすごいな、と思います。

 教職員のなり手不足は深刻な問題となっています。原因はさまざまです。ただ、誰でもなれない特別な職だからこそ、一部の人にしか届かない特別な世界を見たり触れたりすることができる。私が語ることのできるのは『自らの高校時代がずっと自分の近くにあっていつまでも色褪せていかない』ということだろうか。見かけは年齢相応になっても気持ちはいつまでも高校生でいられる(ような)。

 私たちはその職に携わる者として、常に生徒たちに教職の背中を見せていかなければなりません。私たちの姿を見て生徒たちは教職を考えるわけです。私も中学時代の担任、佐藤先生にあこがれたから今があります。

 夕刻の部室 - なんとなく寂しさが漂う。その一方で一日が事故なく無事に終わることへの感謝。明日のドラマへの期待感・・・私はこうした風景の中に時を過ごすのが好きです。